コンタクトセンターのアセスメントでの基本的なステップ

コンタクトセンターのアセスメントでの基本的なステップ

アセスメントはコンタクトセンターの課題を抽出し、具体的な改善策を見つけるために有効な手法です。しかし、実際に導入する際、どのようなステップで進めていけば良いのか迷われるかもしれません。ここからは、コンタクトセンターでアセスメントを行う基本的なステップを解説します。

1. 現状の診断

コンタクトセンターのアセスメントでは、まず、客観的な情報を収集し、現状を正確に診断することから始めます。定量データ(例:応答率、解決率、処理時間、放棄呼率など)と定性データ(例:顧客の声、オペレーターへのヒアリング、ミステリーコールなど)の両方を収集し多角的に分析することが重要です。

このプロセスでは、どのような運用が行われており、理想的な状態との間にどのような隔たりがあるのかを明確にします。業務プロセス、システム環境、人員配置、教育体制、FAQの整備状況など、複数の観点から現状を把握することで、次のステップへの土台が築かれます。

2. 課題の抽出

現状の診断で得られたデータをもとに、コンタクトセンターが直面している具体的な課題を抽出します。例えば、「顧客満足度が低い」「離職率が高い」「応答率が低い」「解決率が低い」「特定の時間帯に放棄呼が集中している」といった具体的な課題を明確にします。

課題を抽出する際には、その課題がなぜ発生しているのか、その根本原因にも着目することが重要です。例えば、応答率の低下が問題となっている場合、その背景にある要因として「人員不足」「オペレーターのスキル不足」「システムの運用課題」などが考えられます。こうした原因を正確に特定することで、より的確な改善策を立案できます。

3. 計画の策定と実行

課題を抽出したら、それらを解決するための具体的な計画を策定し、実行に移します。計画を立てる際には、SMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性のある、Time-bound:期限が明確)のフレームワークを活用し、明確なゴールを設定することが有効です。

また、「誰が」「いつまでに」「何を」「どのように実行するのか」を具体化した実行計画を策定します。例えば、「離職率が高い」という課題に対しては、離職の理由を詳細に分析し、何が問題なのかを突き止めます。その上で、「研修制度の充実」「労働環境の改善」「キャリアパスの明確化」「評価制度の見直し」といった具体的な対策を立案し、実行することが必要です。

4. 評価と改善

計画を実行した後は、その効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行います。このステップでは、計画の実行で目標がどの程度達成されたかを測定し、新たに発生した課題がないかを確認します。

アセスメントの一連のステップは、一度実施されて終わるものではありません。PDCAサイクル(Plan: 計画、Do: 実行、Check: 評価、Act: 改善)を繰り返し回し、継続的にコンタクトセンターを改善することで、アセスメントの効果を最大化できます。評価結果をもとに計画を見直し、新たな施策を立案することで、さらなる運営の向上を目指してください。

コンタクトセンターのアセスメントを成功させるポイント

コンタクトセンターのパフォーマンスを最大化し、顧客満足度を向上させるためには、アセスメントの実施が非常に効果的です。しかし、単にアセスメントを実施するだけでは、十分な成果を得ることは難しいかもしれません。ここでは、アセスメントを成功に導き、その効果を最大化するためのポイントについて解説します。

全体のプロセスを可視化する

コンタクトセンターのアセスメントを成功させるためには、まず、プロセス全体を俯瞰的に可視化し、理解することが重要です。現状の把握、課題の抽出、計画の策定、実行、評価という一連の流れを明確化し、それぞれのステップで何をすべきかを具体的に示す必要があります。

アセスメントの導入時に特に意識したいのが「氷山モデル」という考え方です。氷山モデルとは、海面上に見える氷山の一部は全体のほんの一部に過ぎず、その背後には水面下に隠れた大きな要因や構造が存在するという考え方です。コンタクトセンターにおける課題も同様で、目に見える表面的な事象(例:応答率の低下)の背後には、隠れた根本原因(例:オペレーターのスキル不足、非効率な業務プロセス、システムの問題)が存在します。

プロセス全体を可視化することで課題の全貌を明らかにし、効果的な改善策を立案する基盤を整えることが可能です。

第三者によるアセスメントサービスを活用する

アセスメントを成功につなげるもうひとつの重要なポイントは、第三者によるアセスメントサービスを活用することです。客観的かつ専門的な視点から現状を分析し、改善策を提示してもらえるため、自社だけで実施するよりも大きな効果が期待できます。特に、コンタクトセンター運営の専門家によるアセスメントは、実績に基づいた具体的な提案を受けられるため、とても有益です。

第三者によるアセスメントには、多くのメリットがあります。業界標準やベストプラクティスに基づいた評価基準を提供するため、自社の強みと弱みを客観的に把握できます。また、課題解決のための具体的なアクションプランがあらかじめ用意されているため、迅速かつ的確に改善活動を進めることが可能です。

さらに、専門サービスでは、応答率や解決率、放棄呼率、エスカレーション率など、詳細な指標を用いて課題を定量的に評価します。そして、顧客の声やオペレーターのスキル、モチベーション、業務プロセス、競合状況などを包括的に分析します。このような評価や分析により、社内では気づきにくい課題を浮き彫りにすることが可能です。

このように、第三者の客観的な視点を上手に活用することで、コンタクトセンターの課題解決をより加速させられます。

コンタクトセンターの運用状況を自己診断したい場合は、下記の記事もご覧ください。

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