カスタマーハラスメントの具体的な対策ポイント

カスタマーハラスメントの具体的な対策ポイント

コンタクトセンターにおけるカスタマーハラスメント対策は、以下の3つのポイントが鍵となります。

1. カスタマーハラスメント対策基準の策定

企業はカスタマーハラスメントに対する明確な基準を策定する必要があります。この基準により、どのような行為がハラスメントに該当するのかを明文化し、従業員全員が理解できるようにします。これにより、共通の理解のもとで対策が講じられるようになります。

2. コンタクトセンター対応マニュアルの策定

具体的な対応方法を示したマニュアルを策定することが求められます。これには、現場で起こりうる様々な状況に対しての初動対応やその後の一貫した対応手順が含まれます。マニュアルに基づく行動は、従業員が冷静に、そして効果的に対応するための支えとなります。

3. 従業員に対するカスタマーハラスメント研修・啓蒙

従業員に対する継続的な研修と啓蒙活動が不可欠です。研修を通じて、従業員は最新の対策方法を学び、また、日常業務においてもハラスメントに対する感度を高めていくことができます。企業として、ルール設定や環境整備を行うことに加え、現場での的確な対応を保証するために、これらの取り組みを一体的に進めていくことが求められます。これらの対策がバランスよく実施されたとき、カスタマーハラスメント対策は初めて機能すると考えられます。
これらの取り組みについてさらに詳しく説明していきます。

  • カスタマーハラスメント対策基準の策定
    東京都では、カスタマーハラスメント防止が重要視されており、その一環として「カスタマー・ハラスメント防止条例」第14条が施行されています。この条例では、事業者に対し「カスタマー・ハラスメント防止のための手引きの作成その他の措置を講ずるように努めなければならない」と定められています。このような取り組みは、今後他の都道府県にも広がっていくことが予想されます。  現在、厚生労働省が提示するガイドラインに沿って、各企業はカスタマーハラスメント対策基準の策定に取り組んでいます。企業ごとに対策内容は様々ですが、一般的に次のような事項が含まれています。

      - カスタマーハラスメントの定義
      - 対策方針
      - カスタマーハラスメントの判断基準
      - 対応プロセス
      - 判定ライン
      - 発生時の基本姿勢
      - 相談窓口の設置
      - 発生時の対応プロセス

企業はこれらの基準を設定するだけでなく、対策内容を公式ウェブサイトや店頭などで公表して、透明性を持たせる努力をしています。これにより、社員はもちろん、顧客に対してもカスタマーハラスメントを許さない姿勢を示すことができます。こうした取り組みが全国的に広がることで、健全なビジネス環境が整備されていくことが期待されます。

  • コンタクトセンター対応マニュアルの策定
    カスタマーハラスメントが実際に発生した際の対応策を明確にするため、コンタクトセンターは具体的な対応マニュアルの策定が求められています。これには、顧客からのクレームが正当か不当か、さらに不当クレームの中でもカスタマーハラスメントに該当するのかをオペレーターが正確に判断し、適切に対応することが含まれます。こうしたマニュアルを整備することで、実際にカスタマーハラスメントと判断された場合の応対ルールを具体的に定めることが可能になります。

    これにより、オペレーターは明確なガイドラインを持って対応に臨むことができ、センター全体で一貫したクレーム処理が可能になります。  具体的な対応マニュアルには、次のような要素が含まれます。まず、正当クレームと不当クレームの切り分け基準、カスタマーハラスメントに対する具体的な対応手順、そして緊急時における対応プロセスや、相談窓口の設置に関する情報です。  これらは、コンタクトセンターの業務において非常に重要な要素であり、オペレーターが安心して業務に専念できる環境を作るための不可欠な要素となります。コンタクトセンターにおいては、これらの取り組みが、顧客と企業双方にとって有益な関係を築く基盤となるのです。

    ■ カスタマーハラスメントに該当する言動の定義
    例:人格否定(おまえ、貴様、死ね、くたばれ)など

    ■ 具体的な対応方法
    ①XX分までは傾聴
    ②(上記を過ぎた場合)警告:「そのように仰られますとこれ以上の対応は出来かねます」など
    ③対応終了宣言:「誠に残念ですが、これ以上の対応は致しかねます(切電)」

    ■ レポート
    ・カスタマーハラスメント発生時の対応結果登録
    ・相談窓口への連絡など
  • 従業員に対するカスタマーハラスメント研修・啓蒙
    コンタクトセンターでは、多くのスタッフが日常的にクレーム対応を行ってきました。従来は、長時間の拘束や厳しい言葉に耐えることが求められていたセンターも少なくありません。しかし、今求められているのは、カスタマーハラスメントとは何かを改めて理解し、それにどう向き合うべきかを考えることです。この重要な課題に対して、外部のコンサルタントやコンタクトセンターのアウトソーサーが研修サービスを提供しています。

    これらの研修では、カスタマーハラスメントの定義から始まり、クレームとカスハラの違い、そしてそれらをどう判断すべきかという基準を詳しく学びます。また、具体的な対応方針についても、センター従業員にしっかりと落とし込むことで、より適切な応対が実現できるようになります。

    こうした取り組みは、従業員が安心して働ける環境を作り出すだけでなく、顧客に対しても一貫した対応を提供する助けとなるでしょう。センターの業務がさらに進化し、より良いサービスを提供できるようになるためにも、このような教育プログラムは今後ますます重要となるでしょう。
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